世界中で1日に食べられているピザは何枚か?

こんにちは!ストレッチトレーナーの津田です。

問題です。
「世界中で1日に食べられているピザは何枚でしょう?」

制限時間は3分。
ググるのはもちろん、一切の情報の参照禁止です。

さぁ、お考えください。











あなたの解答はいかがでしたか?

先に断っておくと、今回は健康や栄養に関する話ではありません。

(ピザの話を出したので、食事に関する話と勘違いさせてしまったら申し訳ありません。キャッチーなタイトルにしたかったので、この例題を使用しました)

そう、ご存知の方も多いと思います。

これは「フェルミ推定」を活用した例題の一つです。

他にも、

日本国内の電柱の本数は?
日本全国にゴルフボールはいくつあるか?
世界の1日の携帯通話時間の合計は何時間か?
太平洋の水は何リットルか?

など、普通に考えたら予想もつかないような問題が扱われることが多いです。

あなたはこの問題に対し、どのように感じましたか?
よほどの専門家でない限り、この解答を「知識」として知っている人はいないでしょう。

「そんなんわかるわけねーよ」と、当惑して眉をひそめる人。
「最適解はどんな方法だ、絶対解いてやる!」と、目を輝かせて取り組む人。

様々だと思います。
(ちなみに私は後者の「嬉々としてトライする人」です)

私は、このようにある問いに対し思考をめぐらせることが大好きです。

今回は、フェルミ推定を皮切りに論理的思考や仮説思考など、物事を考える上で非常に有用な思考メソッド、そしてそこから得られる”ワクワク”について、述べたいと思います。

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フェルミ推定とは?

皆さん当然ご存知かとは思いますが、念のため知らない方のために「フェルミ推定」について簡単にご説明します。

「フェルミ推定」とは、ノーベル賞物理学者のエンリコ・フェルミさん(1901-1954)の名前から取って、そう呼ばれている思考方法です。

フェルミさんは、世界最初の核実験が行われた1945年、アメリカにある砂漠のベースキャンプにいました。

その際、核実験の爆発を感じると同時に、あらかじめ用意していたノートをちぎった紙片を部屋に落下させました。

爆発の衝撃波で飛ばされたその紙の動きから、実験に用いられた核爆弾の爆発力の規模を推定してみせたのです。

その後、実際の爆発規模との比較における正確さから、フェルミさんの概略計算能力が同僚を驚かせたという逸話が有名です。

天才ですよね。

このフェルミ推定、簡単に言うと”論理的思考力”が必要とされますが、最も大切なのは目の前の難解な問いに対し”好奇心を持てるか否か”、つまり積極的に臨むことができる姿勢、だと私は考えます。

加えて、すぐに知識に頼ろうとするのではなく、ひらめきや直観力も必要になってきますね。
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世界中で1日に食べられているピザは何枚か?の解答例

さて、冒頭に挙げたこの問い。
ネットなど情報の参照は一切禁止で、使えるのは自分の頭のみ。

どうすれば、3分で解答できるのでしょうか?
当然ですが、闇雲に考えても何も意味はありません。

ここでは「正解がないもの」に対し、どのような思考過程を踏むのかが重要です。
つまり、フェルミ推定を行うことで得られるのは「考える力」と言えます。

試されるのは最終的に出てきた結果の正確性よりも、どういう考え方でその解答に至ったかのプロセスです。

考えるためのポイントは大きく4点。

⑴仮説の構築
⑵前提の設定
⑶アプローチの設定
⑷計算の実行と現実性の検証


まず、「⑴仮説の構築」について。

このような途方もない問いに対し、解答に与えられた制限時間は3分。
キツ過ぎますよね、笑

これはタイムボックスという考え方が重要です。
タイムボックスとは、決められた時間内でゴールから逆算し必要最低限のタスクをこなすことです。

何を捨てるか、の選択とも言えるかもしれませんね。

そして、今ある情報で仮説を立てること。
情報を収集するにしても、「この情報があれば結果が出るはず」という仮説ありきで情報収集を開始する。

とりあえず何でもググりまくる人がいます、そう私です。
知らないことをググることは非常に大切です。
が!そのググり方によっても生産性はかなり左右されるので、闇雲にやるのはあまりオススメしません。
(今回は話がそれてしまうので、ググり方の話には言及しません)

話を戻します。
今ある情報のみで仮説を立てること。

ピザの例題で言えば、こんな感じです。

まずは 「需要」(1人当たりの消費量)の観点か、「供給」(レストラン、宅配、自宅調理など)の観点かを決める。
パッと見て需要の方が算出しやすく、誤差も少なくなりそうなので「需要」ベースとしましょう。

次に、グルーピングです。
ピザは世界中に浸透しているが、食べない国もあるはず。

食べる国にも、
・たくさん食べる国(イタリア、アメリカなど)
・少ししか食べない国(日本など)
・全く食べない国(大草原や森、砂漠など自然が大部分を占める国など)

がありそう。
では、世界各国を3つの分類に分ければ考えやすそう!と決める。

グループ①「ピザをたくさん食べる国」 1日の消費量1/7枚 (週に1枚)
グループ②「ピザを少ししか食べない国」 1日の消費量1/30枚 (月に1枚)
グループ③「ピザを全く食べない国」 1日の消費量0枚

ほら、これだけでも何か答えが出てきそうな感じがしてきましたよね?
ワクワクしませんか?笑


次に「⑵前提の設定」です。
ここでは「どこまでをピザと扱うか?」などの設定です。

例えば、ピザ屋のピザのみとするか?
冷凍や家庭での手作りピザも含むか?
1片だけのピザは1枚とは扱わないのか?

など、定義を決めておくことです。

今回の例題ではそこまで重要でないかもしれませんが、前提として1片は扱わず、丸々1枚のみをカウントする、と前提を置くことにしましょう。

(1片だけも含むと、毎朝食で食べるという人により極端に数値が増えてしまうかもしれないので)


続いて「⑶アプローチの設定」です。

上記でグルーピングした①〜③を用いて、実際の数値に入れ込んでいきます。

ここではある程度の予備知識として、世界人口や各地域(アメリカとかヨーロッパとか)の人口はざっくりと頭にあるという前提で進めます。

ただ、もしここで「世界人口は何となくわかっても、各地域の人口なんて知らないよ」という方も心配はいりません。
もし検討もつかなければ、その各地域の人口をフェルミ推定すれば良いのです👌

世界人口は約64.6億人、ざっくり「65億人」としましょう。

(一応、実際の内訳はこんな感じ。北アメリカ3.3億、アジア39.1億、ヨーロッパ7.3億、ラテンアメリカ5.6億、アフリカ9億、オセアニア0.3億:2005年、UN. Worldより)

ここは個人的な感覚や経験値も入ってしまいますが、一旦は以下のように設定してみます。

グループ①(週に1枚食べる)の人口は5億人
グループ②(月に1枚食べる)の人口は20億人
グループ③(全く食べない)の人口は40億人


最後に「⑷計算の実行と現実性の検証」

上記を踏まえると、一日に食べられている数の計算はこうなりますね。

5億×(1/7) + 20億×(1/30)  = 約「1.4億(枚)」

つまり、この問いに対するフェルミ推定を用いた回答は、
「世界中で1日に食べられているピザは1.4億枚。」となります。

一応、現実性の検証も行ってみましょう。
そのまま使える数字はなさそうですが、以下の記述がネット上にあり。

“30 billion pizzas consumed each year in the world.”(World Food Market 2007のWebページ)

ここから計算すると、30億 ÷ 365日 = 1日当たり「約0.8億(枚)」相当

問題の性質から正確なデータを算出することは難しいですが、上記を目安とすれば、フェルミ推定で導き出した「1.4億」に対し、ネット上の数値は「0.8億」。

誤差は半分以下なので、まぁまぁ及第点ではないでしょうか。
フェルミ推定は、一桁ズレなければ合格と見て良いと思います。

繰り返しになりますが、ここで大切なのは
“最終的に出てきた結果の正確性” よりも
“どういう考え方でその解答に至ったか” のプロセスです。

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逆算の重要性(仮説思考力)

皆さんは目の前に解決したい問題があらわれた際、どのように闘いますか? (考えますか?)

「とりあえず情報収集!」と、闇雲にググりまくる。
「とにかく手を動かす!」と、考えなしに作業に走る。

まさか、こんな非効率なことはしていませんよね?

私が大切にしていることは、逆算すること。
もっと言うと、「結論から」「全体から」「単純に」

これがキーワードです。

例えば、私がお客様にパートナーストレッチを行う際の思考の流れはこんな感じです。
(主訴は「腰痛」の改善とする)

※あくまで一例に過ぎません。下記以上に観察している部分は多岐に渡ります。

〜腰痛のお客様を見た時の津田の頭の中〜
・仕事で予約変更が多いな、時間が自由にコントロールできないストレスも腰に悪さをしてそう
・このお客様の姿勢から見て、骨盤の過度な前傾が主要因の一つっぽいな
・座った際、左脚を上にして脚を組んでいる。股関節の外旋可動域に左右差がありそうだな
・左右の目の大きさや口角に差があるな。また、立位の姿勢から右脚側に重心を乗せる癖がある。どちらか一方に偏る動作をしている可能性が高いな
・ということは、この方は腰痛のみならず右肩や首にも辛さがあるだろうな
・カバンを左手で開けたから左利きだな。すると、生活動作においてこんなシーンで歪みを生んでいるな

などなど、あげればキリがありませんが、こんな感じのことを5秒ぐらいの間で頭に浮かべます。
上記を踏まえ、私は腰痛が主訴のお客様に対し以下の仮説を立てます。

「結論から」→腰痛は単に腰単体の問題ではなく、左右差のある動的及び静的姿勢による局所的な負担蓄積が大きな原因である。更に、精神的なストレスの緩和も重要なポイントになりそう

「全体から」→股関節の回旋可動域に左右差が見られる。それが脚部の筋コンディションと重心の左右及び内外差による歪みを生んでいる

「単純に」→下半身はココとココを緩める、上半身はココを緩める。普段意識していただきたいポイントは「動作時にココを動かすこと」と伝える。

こんな感じです。

実際、これまで千人以上の方の腰痛や慢性痛を改善してきました。

ここでは、私の立場である”ストレッチトレーナー”という分野に特化して説明したので、かなりミクロな例になりましたが、あなたの日々の仕事やスケールの大きいビジネス全般はもちろん、生活のあらゆる場面でこの仮説思考力とフェルミ推定は必ず活きます。

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私たちの生活は考える力を養うチャンスに溢れている

さて、今回の話を踏まえ、あなたの身の回りで「知ってみたい数値」を想像してみてください。

もちろん、一見すると予想もつかないような数値が大歓迎です。
加えて、その数値を知ることであなたが身を置いている分野での価値が高まるものだと尚良いですね。

さぁ、その数値を「フェルミ推定」してみましょう。

もちろん、完全に正確でなくても良いので現実性の検証もセットで行ってくださいね。
自分の興味のある分野だと、日本全国の電柱の数など全く知らない内容よりもより能動的に楽しく取り組めるのではないでしょうか。

それを練習として、次は全く知見の無い分野にもトライしてみましょう。
非常に良いトレーニングになりますよ。

先にも述べましたが、最も大切なのは好奇心を持つこと、「楽しむこと」です。

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まとめ

目の前の難関な問いに対し、まず大切なのは能動的にチャレンジしようとする姿勢

ただ、そのチャレンジも考え無しに闇雲に手を動かすのでは非効率かつ成功確率も低い

「結論から」「全体から」「単純に」をキーワードに、逆算すること。仕事はもちろん、私生活においてもこの思考は日々を充実させるのに重要である


今回参考にさせていただいた書籍は、細谷功さんの「地頭力を鍛える」です。
脳に汗をかくことができ、かつ思考の幅も大きく広がる素晴らしい本です。

是非読んでみてくださいね。
地頭力を鍛える https://www.amazon.co.jp/dp/B00979QRF2?ref_=cm_sw_r_apin_dp_73EZBKMWQKZ8PC5M2V3F


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ストレッチトレーナー・津田鉄平 (https://www.instagram.com/teppeitsuda/)


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