動く前に“動ける”身体をつくるためにPart2 2025.11.22

こんにちは。
西麻布の Personal Training Studio BUDDY トレーナーの 齋藤くる美です。

前編では「動作の土台=機能的動作」とその最初の要素 モビリティファーストを解説しました。

後編では、その土台づくりの方法を身体の構造から紐づけて解説します。

ぜひ最後までご覧ください😊

ジョイントバイジョイント

スポーツ動作では、強い力を瞬時に発揮する能力が求められます。
そのためには、どの関節が「動きを出し」、どの関節が「軸を支え続けるか」という役割分担が必要です。

身体はこの役割を、上下交互に配置することで全身の連動を作り出しています。
足首は動く、膝は支える、股関節は動く、腰椎は支える、、、このパターンが上半身まで続きます。

もし「動く関節」が続いてしまえば、全身がグラグラして力を伝えられません。
逆に「支える関節」ばかりなら、固まりすぎて動きが止まってしまう。
この動く・支えるの交互構造こそ、安定と可動を両立させるの仕組みなのです。
もし膝が動きすぎたり、逆に胸椎が固まったりすると、外向傾は作れません。
こうした関節の配置と役割をまとめたのが、次の表です。

関節担当役割が崩れた時の例
足首動かす切り返しで膝が内側に入り、パワーが逃げる
支えるブレが出て膝痛、ラン効率低下
股関節動かす腰で代償し、腰椎負担増
腰椎支える反り腰・体幹不安定
胸椎動かす肩だけで回旋し、肩障害
肩甲骨支える投球障害、ブレが大きい
肩関節動かす可動域低下でフォーム破綻

このバランスが崩れると、力の伝達は途中で失われ、フォームが不安定になり、
痛みや疲労が蓄積していきます。

つまり「力を伝える身体」とは、この交互構造がきれいに機能している状態となるのです。

分離と協働

役割が整理できたあとは、「分離」と「協働」という動作の学習プロセスが必要になります。

① 分離(Isolation)

まず行うのは、動かすべき関節だけを正しく動かす練習です。
足首だけを曲げ伸ばしする、股関節だけを折りたたむ、胸椎だけを回す。
こうしたシンプルな動作で、余計な部位を巻き込む誤魔化しや代償をリセットしていきます。
動作の基準を整える段階です。

② 協働(Integration)

分離でつくった基準を、全身の連動として発揮させる段階です。
走るなら脚の推進と体幹の安定と腕振りが一つの流れになり、
ジャンプなら踏み切りから着地までが途切れずつながります。
分離で整えた動きを「全身の力」として使えるようにする作業です。

分離せずに協働へ進むと、誤った動きを強化するだけになります。

順番が大切

分離ができていないまま協働へ進むと、
間違った動き方や代償をそのまま強化することになります。
どれだけ練習しても技術が安定しないのは、この順序が崩れているケースが非常に多いです。

分離 → 協働
この順で積み上げることでフォームが安定し、強度を上げても崩れにくく、ケガのリスクも確実に下がります。

ここまで整うと、「動ける身体」がほぼ完成し、
ここからようやく筋トレで出力を上げることや、技術練習で精度を磨くことが効果的になります。
つまり、パフォーマンスピラミッドにおける「パフォーマンス(出力)」と「スキル(技術)」を
確実に積み上げられる状態に入ったということです。

機能的動作が整うと何が変わる?

機能的動作が整うと、一番変わるのは「同じ練習量でどこまで伸びるか」です。

まずフォームの崩れ方が変わります。
これまでは強度を上げたり本数を重ねたりすると、無意識に誤魔化しの動きが出ていました。機能的動作が整ってくると、負荷が上がっても軸の位置や関節の使い方が大きく乱れにくくなります。その結果、狙ったフォームで練習を積み上げやすくなります。

次に、疲労の質が変わります。
これまでは関節や局所の張り・痛みとして出ていた負担が、「やるべき筋肉が素直に疲れる」という感覚に変わってきます。終わったあとに「身体が壊れた感じ」ではなく「ちゃんと使い切った感じ」になるのがひとつの指標です。

さらに、シーズンを通したパフォーマンスの安定性も変わります。
コンディションが良い日だけ調子が出る、雪質や斜面条件で滑りが別人になる、といったブレが減り、「どの状況でもこれくらいは出せる」という下限値が上がっていきます。スキーで言えば、シーズン前半の良い滑りを、後半まで再現しやすくなるイメージです。

機能的動作を整える目的は、「かっこいい動き方を知ること」ではなく、
日々のトレーニングや雪上練習の効率を上げることです。

そのために、いまのあなたの身体はどこが動いていて、どこが止まっているのか。
どの関節がブレーキになっているのか。

BUDDYでは、最初にこの部分を検査し、その結果に基づいて「いま整えるべきポイント」と「やるべきトレーニング」を提案します。

闇雲に本数をこなす前に、一度、自分の身体の状態を整理してみてください。
そこから先の伸び方が変わります。

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